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令和3年度施政方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年2月17日更新

令和3年度施政方針

 本日ここに、第447回白石市議会定例会が開催されるにあたり、ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、令和3年度の市政運営に対する基本方針について、所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆さんのご理解とご協力をたまわりたいと存じます。

 私は、平成28年11月の市長就任以来、「市政課題を先送りしない」「将来世代にツケを残さない」という思いを胸に市政運営にあたり、「市民の笑顔あふれる白石」の実現とともに、将来にわたって「持続可能な白石市」「選ばれるまち白石市」の実現に向けて、積極果敢にチャレンジしてまいりました。

 令和2年から全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、本市においても市民の健康や生活、地域経済活動など、あらゆる面において甚大な影響を及ぼしています。

 こうした事態に対処するため、本市では「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用して、生活支援と消費喚起を図ることを目的に全世帯に配布した「生活応援商品券“ワン”だふるクーポン配布事業」、中小事業者の事業継続を支援する「事業継続支援金給付事業」、新型コロナウイルス感染症に対応しなければならない医療機関などを支援する「医療機関等感染症対策支援金給付事業」など、「市民生活への支援」「雇用の維持と事業の継続」「感染拡大防止」を柱とした独自の支援策に取り組んでまいりました。

 新型コロナウイルス感染症対策は長期化が見込まれることから、感染予防のための「新しい生活様式の実践」や「3密を避ける行動」を引き続き呼び掛けてまいります。

 加えて、新型コロナウイルスワクチン接種に対応するため、令和3年2月1日付けで「新型コロナウイルスワクチン接種対策室」を設置したことから、市民へのワクチン接種が円滑に行われるよう、白石市医師会と連携しながら体制整備を早急に進めるとともに、社会経済活動との両立を含めて、国や県の動向を注視しながら、市民の暮らしを第一に考え、市職員一丸となって取り組んでまいります。

 さて、本市の最上位計画である「第五次白石市総合計画」が令和2年度末をもって満了することから、本市では、令和3年度から令和12年度までの10カ年を計画期間とする新しい総合計画「第六次白石市総合計画」の策定を進めてまいりました。

 「第六次白石市総合計画」では、本市の目指す将来像を「人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいし」と定め、市民一人一人がその個性や能力を発揮しながら、地域づくりの担い手として活躍するとともに、新たな視点でさまざまな地域資源や魅力を発見し、育て、高め合うことで、新しい価値を創造し、まちへの誇りと愛着を持って暮らしていくことができるまちを目指します。さらに、地域共生社会の実現に向けて、市民一人一人の暮らしや生きがい、地域をともに創っていくことを目指したまちづくりを推進します。

 本計画の目指す将来像の実現に向けては、「ひとづくり」「地域力の向上」「新しい価値の創造」の3つをまちづくりの基本的視点として、持続可能なまちであり続けるために、人口減少・少子高齢化などに対応したまちづくりを推進します。

 加えて、令和3年度から令和7年度までの5カ年を計画期間とする新たな総合戦略『白石市まち・ひと・しごと創生「第2期総合戦略」』に基づき、「第六次白石市総合計画」との整合性を図りながら地方創生をさらに推進し、本市の目指す将来像を実現するための施策を推進します。

 人口減少や少子高齢化、安全・安心への関心の高まり、社会経済情勢の変化、地域社会ニーズの多様化、持続可能な社会の実現など、まちづくりを取り巻く環境は大きく変化していますが、市政課題を先送りすることなく、本市が持続可能なまちであり続けるために、市民の皆さんと力を合わせて、新しい時代のまちづくりに積極果敢にチャレンジしてまいります。

 以下、「第六次白石市総合計画」に掲げる6つの分野目標に沿って、主な施政の概要をご説明します。

 

人・文化を育む

 はじめに1つ目の分野目標の「人・文化を育む」です。これは、次代を担う子どもたちが一人一人の個性や能力を伸ばし、生きる力を身に付けることができるよう、質の高い学校教育を推進するとともに、家庭や地域の教育力の向上を図り、地域ぐるみで子どもの健やかな心身を育むことを目標としています。また、城下町としての歴史や今に息づく伝統文化を大切にし、次代へとつないでいくため、貴重な文化財の保護・活用や世代を超えた継承活動の活性化に取り組み、市民の皆さんのまちに対する誇りや愛着を育むことを目標とするものです。

 学校教育の充実は、自ら未来を切り拓き、社会を生き抜く力を持った児童生徒を育成することを目的として、本議会に学校教育に関する重点施策などを定める「未来を拓く学校教育充実化条例(案)」を上程しており、令和3年度においても次世代を担い新たな社会の価値を創造する子どもたちの確かな学力の育成を図るため、引き続き教育改革を進めます。

 具体的には、「学力・学習状況調査」を通して、児童・生徒個人の学力の伸びをはじめ「非認知能力」「学習方略」を把握することで、より効果的な学力向上を図ります。

 また、英語教育に重点を置いた教育課程を編成し、小学校1・2年生から英語に親しむ授業を行うとともに、ALT(外国語指導助手)を増員して英語の習得と国際理解教育の推進に努めます。

 さらに、GIGAスクール構想で整備を進めた1人1台学習用コンピュータなどの機器と、ICT支援員を積極的に活用し、ICT教育の充実を図ります。

 地域・家庭の教育力の向上は、地域学校協働本部を中心に、地域と学校などが連携して、未来を担う子どもたちの夢に向かって生き抜く力や学びを支援します。また、地域学校協働活動に関わる地域住民や各種団体の主体性や自主性を育み、地域全体の教育力の向上と地域の活性化を図ります。

 生涯学習の推進は、公民館を拠点に豊かな社会生活を送ることができるよう、市民の興味や関心に応じた学びを支援します。さらに、市民の皆さんが地域の課題に気付き、仲間とともに学び、課題の解決に向けた行動につなげていけるような共同学習を支援し、住民自治力を育みます。

 また、スポーツの推進は、既存のスポーツ関連資源を活用し、老若男女問わずスポーツに親しむ環境整備を進めるとともに、将来のスポーツ環境の変化を見据えながら、市民の皆さんがそれぞれのライフステージに応じて、気軽に多種多様なスポーツを楽しむことができる「総合型地域スポーツクラブ」などのシステム構築を検討し、生涯スポーツを推進します。

 歴史遺産・伝統文化の継承と活用は、白石城をはじめとする本市の貴重な歴史遺産や伝統文化を観光資源として活用するだけではなく、地域の個性や独自性、アイデンティティを示す重要な資源であると捉え、地域からの掘り起こしにより、市民の皆さんに魅力を発信する取り組みを進めます。特に、貴重な歴史遺産やまちの伝統文化を次代に伝える取り組みを推進するため、体験型ワークショップなど、子どもから働き盛り世代が参加しやすい活動形態にすることでシビックプライド(地域への誇りと愛着)の醸成(じょうせい)を図ります。

 

みんなで地域づくりを進める

 次に、2つ目の分野目標の「みんなで地域づくりを進める」です。これは、地域の特性を生かした持続可能なまちづくりを進めるため、コミュニティ活動の活性化を図りつつ、地域課題を共有しながら、住民が主体となって活躍し、連携・協働によるまちづくりを推進することを目標としています。併せて、効率的で効果的な事務事業の実施や、創意工夫による財源の確保、職員の資質・能力向上を図りつつ、目指す将来像の実現に向けた戦略的な投資を行うなど、限られた資源を有効活用した効果的な施策の推進を図ることを目標とするものです。

 持続可能な多機能型自治の形成は、自治会やまちづくり協議会の機能や経営基盤の強化を支援するとともに、地域おこし協力隊や生活支援コーディネーターなど、地域マネジメントをリードする人材育成に努めます。また、多機能型自治を促進するための研修会の開催や関係者の相互交流機会の創出を図ります。

 協働のまちづくりの推進は、各地区で策定した「まちづくり宣言」の計画的な実現を目指すことで、地域づくりに関わる人材の育成と住民自治力を育み、市民生活の質の向上と持続可能な地域づくりを推進します。

 その具体策として、「地区計画策定支援交付金制度」を創設し、「地区計画」の策定を支援するなど、計画的な「まちづくり宣言」の実現を目指します。

 また、これまでの「まちづくり交付金制度」は、交付金活用団体の事業の進化を促すため、互いの取り組みから学び合える機会を設けるなど、制度の改善を図りながら、継続して実施します。

 市民と行政の情報の共有化は、従来の紙媒体による広報紙の発行に加え、SNSなどさまざまな媒体を活用し、定期的な情報発信を効果的に行うとともに、市民が積極的に市政に参加し、意見を出すことができる多様な機会の充実を図ります。 

 持続可能な行財政運営は、厳しさを増す地方財政の中、自主財源の確保に努めつつ、地域の特性や抱えている課題を踏まえた重点的な施策の推進を図ります。また、ICTの利活用を推進することで市民サービスの充実を図るとともに、効率的で効果的な事務事業の実施を推進します。

 中でも、市税は最も重要な自主財源です。その自主財源を確保するとともに、市民負担の公平・平等性を確保するため、今後も滞納処分の早期着手に努め、財産調査や差押えなどを進めることで新規滞納者の発生を防ぎ、累積滞納額の縮減を図ります。

 また、長期的観点での財政負担の縮減や平準化を図るため、「公共施設等総合管理計画」に基づく「個別施設計画」の推進と検証を進め、効率的で効果的な公共施設の運営を図るとともに、厳しい財政状況下においても効率的で質の高い行政サービスの実現を目指すため、引き続き白石市行財政改革推進計画「集中改革プラン[第4次改訂版]」に基づき、業務の効率化や自主財源の確保、経費の節減・合理化などを推進し、選択と集中によるメリハリのある行財政運営に取り組みます。

 特に、「ふるさと納税寄附金」は、利便性の向上や返礼品の充実、手続きの効率化を図るとともに、白石市の魅力を発信するシティプロモーションと捉え、より多くの方々に白石市を継続して応援していただきながら、交流人口や関係人口の拡大にもつながるよう努めます。

 

暮らしをともに支え合う

 次に、3つ目の分野目標の「暮らしをともに支え合う」です。これは、「我が事・丸ごと」の地域共生社会の実現に向けて、誰もが地域において役割を持ち、「他人ごとではなく我が事」として主体的に参画し、人と人、人と資源が世代や分野を越えて、丸ごとつながり、互いに支え合いながら、住み慣れた場所で安心して暮らすことができるまちづくりを推進することを目標とするものです。

 地域福祉の推進は、令和3年度から令和7年度までの5カ年を計画期間とする「白石市地域福祉計画」に基づき、地域福祉を構成する地域住民や社会福祉協議会などの関係団体と連携体制を確保し、協働の仕組みづくりを推進します。

 子ども・子育て支援の充実は、深谷保育園に替わり民間事業所が運営する「白石みのり保育園」の開園や、「ひかり幼稚園」の認定こども園への移行支援などを通して、待機児童の解消を目指します。

 幼児期の教育・保育の充実として、令和2年10月に連携協定を締結した宮城教育大学から専門的なアドバイスなどをいただきながら、より良い幼児教育を目指すとともに、ALT(外国語指導助手)による英語教育を拡充し、幼児期から生きた英語に慣れ親しむ活動を行います。

 また、幼稚園で教育時間終了後に実施している預かり保育の時間を延長するとともに、夏休みなどの長期休業期間中の預かり保育を新たに実施します。

 さらに、希望者に対して給食を提供することで、保護者の負担軽減と食育の充実を図ります。

 加えて、妊娠期からの切れ目のない包括的な支援の充実と子どもの健康の確保のため、子育て支援の新たな拠点となる「子育て世代包括支援センター」を令和3年3月に開設し、母子保健事業の充実を図るとともに、オンライン相談や電子母子手帳アプリの利用を促進することで、育児不安の解消や虐待予防などに取り組み、母子保健と子育て支援の各種施策を一体的に提供できる体制を整備します。

 「赤ちゃん誕生応援事業」は、これまでの「妊婦健康診査費助成事業」や「妊婦歯科健康診査事業」に加え、令和3年度から「産婦健康診査費用助成事業」を実施します。産後おおむね1カ月以内に健康診査費用2回分を助成することで、産後の初期段階における母子に対する支援を強化し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を整備します。

 「子ども医療費助成事業」は、子育て家庭の経済的負担の軽減と子育て環境の充実を図るため、県の補助基準を超える助成を独自に実施し、引き続き通院・入院とも所得制限なしで中学3年生まで医療費の助成を行います。

 さらに、「子どものインフルエンザ予防接種費用助成事業」は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて令和2年度に助成対象者を拡大しましたが、令和3年度も引き続き、生後6カ月から中学3年生まで予防接種費用の助成を行います。

 安心して子育てができる環境の整備は、多様化する子育てニーズに対応するため、第一児童館放課後児童クラブや第二児童館放課後児童クラブなどの指定管理者への移行と、新たに深谷地区に開設する放課後児童クラブへの支援を通して、仕事と子育ての両立を支援するとともに、子どもたちに適切な遊びと生活の場を提供し、児童の健全な育成を図ります。

 また、子育て支援・多世代交流複合施設「こじゅうろうキッズランド」は、小学生までの子どもが天候を気にせず安心して遊べる施設として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を徹底しながら、市民をはじめ市外からも多くの方々に利用いただいており、世代を超えた交流が図られていることから、引き続き運営事業者との連携を深めてまいります。

 さらに、東大畑地区の「子育て応援住宅」の入居者が市内に住宅を取得した際に支援する「白石市子育て応援住宅入居者向け定住促進補助金」を継続し、「白石市子育て応援住宅基金」を活用しながら子育て支援と定住促進を図ります。

 高齢者福祉の充実は、令和3年度から令和5年度までの3カ年を計画期間とする「白石市高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画」に基づき、お互いの自分らしさを認め合い、支え合いながら、いつまでも暮らし続けられるよう、地域共生社会の実現を目指します。

 また、認知症になっても意思が尊重され、できる限り住み慣れた自宅や地域で安心して暮らし続けられるよう、認知症高齢者の早期発見・早期診断体制の充実や、認知症に関わる医療と福祉・介護の連携強化を図るとともに、認知症の正しい知識の普及に努めます。

 さらに、市民の誰もが参加でき、楽しく介護予防に取り組める「いきいき百歳体操」を自主的に取り組む団体に対する活動支援などを行い、高齢者が、いきいきと健康で元気に暮らすことができるよう、より一層の介護予防の推進を図ります。

 障がい者福祉の充実は、障がいのある人の自立と社会参加への支援を推進するため、令和3年度から令和5年度までの3カ年を計画期間とする「第6期白石市障害福祉計画」「第2期白石市障害児福祉計画」に基づく各種施策により支援の充実を図ります。

 地域医療体制の充実と健康づくりの推進は、安心できる地域医療体制の確保のため、白石市医師会や仙南歯科医師会白石支部とさらなる連携を図り、安全・安心な医療の提供体制強化に努めます。

 また、公立刈田綜合病院は、みやぎ県南中核病院との連携を推進しながら経営健全化を目指し、地域医療の充実を図ります。

 国民健康保険事業の効率的運営は、被保険者が減少する中での「保険料水準の統一化」などの課題に関する協議を、県や県内他市町村とともに継続して行います。また、1人当たりの医療費は増加傾向が続いていることから、適正受診や適正服薬、ジェネリック医薬品の活用の周知など、医療費の抑制に努めるとともに、被保険者の健康の保持・増進を図るため、「人間ドック費用助成事業」の周知や特定健診・保健指導の受診勧奨と啓発に努めます。加えて、特定健診の検査項目を増やし、糖尿病性腎症の重症化予防に取り組みます。

 疾病の早期発見・予防は、「造血幹細胞移植後ワクチン再接種費用補助金」や「医療用ウィッグ購入費助成事業」を継続実施し、がん患者の治療と社会参加の両立を支援します。

 主体的な健康づくり活動の推進は、仙台大学と連携した「働き盛り世代から始める健康づくり推進事業」を継続実施し、働き盛りの現役世代が早い段階から正しい生活習慣と運動習慣を身に付け、将来、生活習慣病にならないような取り組みを進めます。

 

安全・安心を守る

 次に、4つ目の分野目標の「安全・安心を守る」です。これは、あらゆる危機や災害から市民を守るため、市民一人一人の意識の醸成と自分の身を守るために必要な知識や技術の習得を支援するとともに、日ごろからお互いに見守り、支え合うコミュニティの再構築と市民による主体的な活動を促進することを目標としています。併せて、交通安全、防犯施設・設備の整備を図るとともに、先端技術を活用した情報収集・伝達体制の強化などに取り組み、危機や災害発生時の迅速かつ適切な判断・行動と被害を最小限に抑えるための環境整備を推進することを目標とするものです。

 防災・減災対策の充実は、「白石市地域防災計画」に基づき、令和元年東日本台風の被害を教訓にさらなる防災体制の充実に努めるとともに、地震や台風、集中豪雨などのさまざまな災害への対応に万全を期し、災害に強い安全・安心なまちづくりを進めます。

 災害時の迅速な情報収集・情報伝達などの強化は、迅速かつ適切な情報収集・情報発信ができる体制づくりに努めるとともに、新たに作成したハザードマップにより避難所や危険区域などの周知徹底を図り、市民の安全確保と防災意識の高揚に努めます。

 また、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて、避難所における感染症対策の徹底を図る必要があることから、「避難所開設・運営マニュアル」に基づき、災害発生時に避難を要する住民の安全・安心を確保し、円滑な避難所運営に努めます。

 交通安全・防犯対策の充実は、交通ルールの遵守やマナー向上を図るため、引き続き交通安全関係団体と連携し、交通安全指導を実施するとともに、子どもや高齢者の交通事故を未然に防止するため、交通安全教室の開催や交通安全キャンペーンなどの啓蒙活動を拡充します。

 地域における防災力の強化は、市民一人一人が「自らの命は自ら守る」という意識を持ち、「自助」である災害への備えと、「共助」である地域住民同士での助け合いが災害発生時に被害を軽減するためには必要不可欠であることから、引き続き自主防災組織への支援を継続するなど地域防災力の向上を目指します。

 消費者行政の推進は、特殊詐欺や悪質商法などの被害を防止するため、広報紙やホームページを活用した情報提供と世代に応じた啓発活動を行うとともに、消費生活相談員の知識と技能の習得を支援し、相談対応機能の向上を図ります。

 

活力・賑わいを創る

 次に、5つ目の分野目標の「活力・賑わいを創る」です。これは、活力に満ちた産業振興を進めるため、白石ブランドの確立・活用や高速道路などの基盤を生かした産業集積、多様な連携による新たな価値の創造などに取り組み、競争力の高い産業づくりを目指すものです。また、美しい自然環境や景観、新幹線駅立地などの強みを生かしつつ、本市の魅力を国内外に効果的に発信します。さらに、中心市街地の活性化に向けた創意工夫などにより、交流人口や関係人口の拡大を図るとともに、移住・定住の促進に力を入れ、人々が行き交う賑わいのあるまちを創出することを目標としています。

 農林業の振興は、農林業従事者の高齢化率が高く、今後、人口減少・少子高齢化が進む中で、労働力不足が予想されることから、農家の所得向上を図るとともに、新規就農者の確保や農地の集積・集約を進めていくことが必要です。農用地の利用効率化と農地の流動化を図るため「農地中間管理事業」による農地集積を推進し、生産基盤の強化と耕作放棄地の発生防止に努めます。

 農林産物の高付加価値化は、「宮城白石産ササニシキ復活プロジェクト」を引き続き支援するとともに、白石三白野菜をはじめとする農林産物のブランド化を推進します。

 また、農産物等販売施設「おもしろいし市場」は、平成31年4月のオープンから令和3年1月末までの期間で72万人を超える方々に利用いただいており、農業生産者や物産事業者にとって販路拡大を実感できる施設として好調な運営を維持しています。令和3年4月から、民間事業者のノウハウや経営手法を活用する指定管理者運営施設として新たにスタートしますので、「しろいし Sun(サン) Park(パーク)」の他の施設と連携して自立した運営と維持管理を図ります。

 さらに、地元食材活用レストラン「みのり Kitchen(キッチン)」と食の安全や栄養成分を調査分析する研究施設「みのり Labo(ラボ)」、6次産業化加工施設「みのり Factory(ファクトリー)」の整備により、地元の農産物加工販売体制が整いました。今後一層の農林業の振興と6次産業化の促進を図るため、施設ごとの魅力の向上とともに、各施設・事業者が有機的に連携することでさらなる賑わいの相乗効果を生み出し、市全体にさまざまな波及効果が広がるよう、各施設との連携を推進します。

 森林の保全は、森林環境譲与税などを活用し、森林資源の維持や多面的機能の持続的発揮・促進を図ります。

 また、有害鳥獣対策は、イノシシによる農林作物への被害がいまだ大きく、令和元年度は1,814頭、令和2年度も令和2年12月までの9カ月で既に1,700頭を超えるイノシシを捕獲しています。今後も捕獲による個体数の調整を行うとともに、電気柵などの設置や箱わな製作への補助を継続し、被害防止対策の強化に努めます。

 商工業の振興は、新型コロナウイルス感染症の影響により市内経済は非常に厳しい状況にありますが、引き続き白石市企業立地促進条例に基づく企業立地優遇制度により投資を促進するとともに、既存企業に対する情報提供やサポート体制の強化など事業活動支援の充実を図ります。

 また、製造業を中心とした企業誘致を推進するため、企業の投資環境の回復状況を見極めながら、企業立地セミナー参加や企業訪問などを通じてトップセールスを行い、企業立地環境や投資環境の優位性などを積極的にPRしてまいります。

 賑わいのある商店街の再生は、商店組合などが行う中心商店街活性化事業への助成や各種観光施策との相乗効果により、賑わいの創出を図ります。

 中小企業・小規模企業などの経営支援は、「白石市中小企業振興資金融資制度」を活用して中小企業などの経営安定化や振興発展に努めるとともに、信用保証料を補給することで負担軽減を図ります。

 また、特産品・伝統産品の振興として、白石温麺や白石和紙、弥治郎こけしなどの特産品・伝統産品の販路拡大や、継承・発展に対する取り組みを支援します。

 観光の振興は、白石市観光協会や温泉旅館組合などの関係団体と連携を強化するとともに、自然環境や歴史文化など、本市の特性を生かした観光資源の整備を行います。

 また、令和3年4月から9月までの6カ月間、東北6県が連携した「東北デスティネーションキャンペーン」が開催されることから、推進組織である東北デスティネーションキャンペーン推進協議会やJRなどと協力し、デスティネーションキャンペーンでの観光客の受け入れを行います。

 さらに、歴史文化を活用した取り組みとして、地域おこし協力隊による甲冑試着体験をはじめ、白石城を中心とした歴史的資源を活用するなど、観光コンテンツの磨き上げにより誘客促進を図ります。

 インバウンドの推進は、アフターコロナのインバウンド需要に備え、宮城インバウンドDMOなどと協力し、多言語ホームページやSNSなどを活用し、国内外に向けて積極的に情報発信を行います。また、観光案内板の多言語化や、観光施設におけるキャッシュレス決済などを推進し、訪日外国人観光客に選ばれる観光地となるよう、受入環境の整備を図ります。

 広域観光の推進は、蔵王周辺地域の市町や国道113号沿線市町が共同でプロモーション活動を行うなど、さらに連携を強化し、本市とその周辺地域を周遊する観光客の増加を目指します。

 雇用・就労支援の充実は、「白石市創業支援等事業計画」に基づき、関係機関と連携した「創業塾」の開催などにより創業を後押しするとともに、商店街再生にもつながる「空き店舗等対策事業補助金」の活用などを通して創業を目指す方々への支援を行います。

 交流活動の促進は、地域間交流の推進として、次世代を担う青少年のスポーツ・文化活動などを通した登別市・海老名市・札幌市白石区との姉妹友好都市交流を、白石市姉妹友好都市交流協会と連携しながら推進していきます。また、国際交流は、オンライン形式などコロナ禍に対応したさまざまな交流を推進していきます。

 移住・定住の促進は、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に地方移住への関心が高まる中、引き続き「定住者補助金」「新婚家庭家賃補助金」などの住宅支援事業を継続するとともに、「白石市移住交流サポートセンター」を中心に、移住定住に係る相談活動や移住体験住宅の活用を図り、関連イベントなどで本市の魅力を広く紹介しながら、地域住民・移住者・若者世代などの交流活動を促進します。

 また、ウィズコロナ・アフターコロナに対応した新しい生活様式において、テレワークや休暇先で仕事をするワーケーションが広がりつつあり、地域おこし協力隊制度を活用しながら新たな人の流れを捉え、滞在環境の提供や提案とともに、豊かな自然環境や交通アクセスの利便性など、本市で働くことのできる魅力を発信して関係人口の拡大を図り、移住・定住につなげます。

 

まちの未来を描く

 最後に、6つ目の分野目標の「まちの未来を描く」です。これは、本市の強みであり、市民の誇りの一つでもある美しい山並みや景観を守り、未来に引き継ぐため、市民一人一人の自然環境に優しい行動の実践と自然と調和した土地利用を促進することを目標としています。また、利便性の高い、安全・安心な生活基盤を確保するため、社会インフラの整備・長寿命化や公共交通の充実を図るとともに、将来のさらなる人口減少・高齢化を見据えた都市空間の整備を促進することを目標とするものです。

 豊かな自然環境の維持は、地球温暖化対策の推進として、ホワイトキューブのZEB化改修を進め、「第3次白石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」に基づき、高効率設備機器への改修や太陽光・蓄電システムの新規導入により、施設からの温室効果ガス排出量の削減を行います。また、蓄電システムの整備により、災害時に必要なエネルギー供給が可能となることから、指定避難所としての災害時の防災機能強化を図ります。

 快適な生活環境の構築として、水道事業は、効率的に水道施設を管理し、50年後においても持続可能な事業運営とするため、アセットマネジメントの手法により見直しを行った経営戦略を含む「白石市水道ビジョン(改訂版)」に基づき、適正な施設管理を進めるとともに、料金体系のあり方についても検討と精査を進めます。また、少人数での運営体制に対応するため、導入可能な業務は積極的に民間事業者の導入を図ります。

 老朽化した水道施設の更新は、白石駅前を東西に走る県道白石停車場線をはじめ、堂場前と清水小路地域の老朽管更新工事を行います。また、深谷・越河地区などで高水圧地域の解消に向けた減圧弁設置工事を実施するとともに、松ケ丘ポンプ場と配水池、湯元新湯ポンプ場の撤去など、施設のダウンサイジングと統廃合を進めます。

 下水道事業は、機能診断と劣化予測に基づく「白石市下水道ビジョン」の策定を進めており、令和3年度からこの計画に基づき施設の効率的な維持管理と更新に努めます。

 また、災害などの緊急事態発生時に上下水道事業の損害を最小限に抑え、事業の継続や速やかな復旧を図るため、事業継続計画(BCP)を策定します。

 上下水道事業は、人口減少や施設の老朽化などから厳しい経営環境にありますが、さらなる事業の合理化を進めるとともに、経営基盤を強化し、未来に引き継ぐことができる事業とするため、県内や仙南地域での広域化や広域連携の検討を積極的に推進します。

 放射能対策は、現在も除去土壌などの除染廃棄物を保管していることから、引き続き埋設箇所と仮置場の適切な維持管理を行うとともに、国の責任のもとに除染廃棄物を早急に処分するよう、国に強く求めてまいります。

 また、東京電力福島第一原子力発電所事故によって発生した農林業系廃棄物は、令和3年度からの本焼却再開が決定したことから、今後、保管農家の負担解消と風評被害払拭を図るため、関係機関と連携しながら、早期処理に努めます。

 循環型社会の推進は、「第3次白石市環境基本計画」に基づき、本市が目指す環境の将来像「水と緑を誇るまちしろいし」を実現するため、市民協働のもと、豊かな自然環境の保全と生活環境の向上を図るとともに、持続可能な循環型社会の構築に努めます。

 空き家対策の推進は、「白石市空家等対策計画」と合わせて、令和2年3月に民間事業者との協定に基づき創設した「空き家バンク制度」の周知と活用を引き続き図りながら、空き家などの適切な管理の促進や有効活用を進めます。

 利便性の高い公共交通網の確保は、通院や買い物など市民の日常生活の移動手段となる市民バスや乗合タクシーの運行を継続し、より効率的で効果的な運行に努め、引き続き便利で快適なまちを目指します。特に、市民バスは、利用実績や市民ニーズの調査・分析を行い、利便性の向上に努め、将来にわたって市民が安心して暮らし続けることができる公共交通の確保に努めます。

 魅力ある都市空間の整備は、地域特性を生かした市街地整備として、市中心部の交通ネットワーク機能の強化と通学路の安全確保を図るため、平成30年度から都市計画道路「中河原白石沖線」事業に着手しています。引き続き用地買収と建物などの移転補償、道路の改築工事を促進します。

 公園施設長寿命化対策支援事業では、令和2年度で益岡公園野球場の改修工事が完成することから、続けて益岡公園テニスコート関連施設の改修工事を進め、施設の長寿命化と一時避難所としての機能強化を図るため、早期完成を目指します。

 

人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいしへ!

 以上、令和3年度の施政の概要を申し述べさせていただきました。

 令和3年度も、引き続き市職員一丸となって市勢発展に向けて取り組んでまいりますが、少子高齢化による税収の減少や社会保障費の増加、公共施設をはじめとするインフラ更新など、不安定な財政状況に陥ることが懸念されており、地域社会で発生する課題の解決に向けて、行政がすべてを対応することは困難となっています。

 地域の課題を解決するためには、地域の資源や人材を有効に活用し、地域住民が主体となって地域の暮らしを支える取り組みを促進していく必要があることから、「第六次白石市総合計画」の策定に合わせて、「地域づくり計画」と各地区の目指すべき将来像である「まちづくり宣言」を市民の皆さんと一緒に策定しました。

 この計画や宣言の実現に向け、地域づくりを担う人材の育成や住民主体の地域づくりを促進するとともに、市民の皆さんと連携・協力しながら地域の課題を解決し、安全・安心で暮らしやすい持続可能な地域づくりを進めてまいります。

 そして、「第六次白石市総合計画」に掲げる重点戦略や分野目標を着実に実行し、新たなまちづくりを計画的かつ総合的に推進するとともに、市民サービスの向上や効率的な組織体制の充実・強化を図るため、組織の一部再編を行います。

 具体的には、市民生活の利便性向上を図る「市民生活課」の設置をはじめ、「第六次白石市総合計画」や『白石市まち・ひと・しごと創生「第2期総合戦略」』の推進とともに、重要政策の企画調整などを行う「企画政策課」を設置します。

 また、「第六次白石市総合計画」の各地区まちづくり宣言の実現に向けた支援や姉妹友好都市・国際交流、移住定住促進施策を推進する「まちづくり推進課」の新設、国のデジタル政策の流れに対応して、市民サービスの向上や業務の効率化を推進する「デジタル推進課」の新設、ふるさと納税寄附金に関する利便性の確保や返礼品の充実を図る「ふるさと納税推進室」を新設します。

 さらに、スマートインターチェンジと工業団地の整備、企業誘致までを一体的に行う「スマートインターチェンジ・企業立地推進室」を設置し、効率的な組織体制の充実・強化を図ります。

 最後に、令和2年10月、白石市の新たなヒト・モノの流れを生み出す施策として進めている「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」の整備について、その必要性が認められ、国から新規事業箇所に採択されました。本市が一層の成長を成し遂げていくためには、地域間のネットワークを強化するための幹線道路をはじめとする社会基盤整備が必要不可欠であり、特に、スマートインターチェンジの整備は、交流人口や関係人口の拡大と円滑な物流の確保など、地域間の相互連携により相乗効果を生み出す「地域活性化の起爆剤」と考えており、地元企業からも大きな期待が寄せられています。

 「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」が整備されれば、東北縦貫自動車道のさらなる有効活用が図られ、新たな企業誘致の実現や企業活動の支援をはじめ、中心市街地の活性化や観光振興、地域医療の充実、災害支援など、さまざまな効果が期待できることから、引き続き関係機関と連携し早期完成を目指します。

 加えて、企業誘致のためには、新たな工業団地の整備が必要です。「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」の整備と一体的に、企業から「選ばれる工業団地」を造成し、企業進出から雇用・税収増へ、そして市民サービス還元へと、好循環の創出につなげられるよう工業団地整備を推進します。

 令和3年度からの10年間で、白石市は大きく発展します。そのスタートの年となる令和3年度は、本市にとって大きな節目の年となります。本市が持続可能なまちであり続けるために、「第六次白石市総合計画」に掲げた「ひとづくり」「地域力の向上」「新しい価値の創造」を基本的視点として、シビックプライド(まちへの誇りと愛着)を育むまちづくりを推進し、本市の目指す将来像「人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいし」の実現とともに、「選ばれるまち白石市」となるよう全力で取り組んでまいります。

 今後とも、議員各位をはじめ市民の皆さんの市行政全般に対するなお一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、所信表明といたします。